従業員が安心して働ける環境を整えるためにはオフィスビルのセキュリティー対策をしっかり行うことが重要です。
しかし、オフィスが広くなったり、従業員数が増えたりすると管理に手が回らなくなる可能性があります。
対策として警備員の増員を行うと、コストが高くなってしまうでしょう。
そのような時、最新の設備を導入することでセキュリティーレベルを上げ、さらには人件費の削減も可能になるかもしれません。
今回はそのような、セキュリティーレベルを高めるための設備と実際の導入事例を解説します。
侵入窃盗の現状
侵入窃盗とは、建物に侵入して金品を盗む犯罪のことです。*1
セキュリティーを突破されて発生する侵入窃盗の現状を解説します。
侵入窃盗の認知状況 *2
侵入窃盗は平成14年までは増加を続けており、年間で約34万件の認知件数を記録していました。
その後は減少傾向にあり、令和4年は前年比マイナス1.8%の約3.7万件と20年連続の減少です。減少傾向にあるとはいえ、一日あたり約100件は発生している現状となっています。
出所)警視庁 住まいる防犯110番 侵入窃盗データ
https://www.npa.go.jp/safetylife/seianki26/theme_a/a_b_1.html侵入窃盗の発生場所 *2
令和4年における侵入窃盗の発生場所は、一戸建住宅が全体の33.0%と最多でした。その次に続くのが一般事務所の11.1%です。
年間の認知件数である36,588件に対する11.1%なので、年間で4,061件も一般事務所に侵入窃盗が発生している計算となります。住宅の被害が最多ではあるものの、オフィスでも防犯対策は必須でしょう。
出所)警視庁 住まいる防犯110番 侵入窃盗データ
https://www.npa.go.jp/safetylife/seianki26/theme_a/a_b_1.html侵入窃盗の手口 *2
侵入窃盗が行われる手口は空き巣が29.0%と最多でした。それに出店荒し、忍込み、事務所荒しが続きます。
出所)警視庁 住まいる防犯110番 侵入窃盗データ
https://www.npa.go.jp/safetylife/seianki26/theme_a/a_b_1.html人のいない時間帯のセキュリティー対策と、不審者を侵入させないシステムが大切であると分かります。
侵入強盗の現状
侵入犯罪は、侵入窃盗の他にも侵入強盗があります。侵入強盗とは建物に侵入し、凶器等を用いて人を脅すことで金品を強奪する犯罪です。*3
侵入強盗の認知状況 *4
侵入強盗の認知件数は平成15年が3,000件弱と最多でした。その後は減少傾向にあり、令和4年は前年比マイナス2.4%の290件です。
出所)警視庁 住まいる防犯110番 侵入強盗データ
https://www.npa.go.jp/safetylife/seianki26/theme_a/a_b_1.html侵入強盗の発生場所 *4
侵入強盗の発生場所をみると、最多だったのは36.9%の商店でした。侵入窃盗で最多だった一戸建て住宅の割合は2番目の17.6%とあり、一般事務所での発生は2.1%でした。
出所)警視庁 住まいる防犯110番 侵入強盗データ
https://www.npa.go.jp/safetylife/seianki26/theme_a/a_b_1.html侵入強盗のなかでも、怪我人などを発生させる身体犯は令和4年に100件発生しています。*5
オフィスビルには自社の従業員はもちろん、ビル管理や取引先など幅広い関係者がいるので、万が一に備えたセキュリティー対策が重要です。
オフィスセキュリティーの課題と対策
ここでは、オフィスにおけるセキュリティーを考えるうえでの課題と対策を見ていきましょう。
不審者侵入対策 *6
まずは不審者侵入対策です。オフィスビルは人の出入りが多く、出入りも自由である場合があるため、不審者の侵入を抑止する仕組みが必要です。
不審者侵入への対策は360°カメラによる全方位での監視が挙げられるでしょう。
監視エリアを隅々まで録画でき、FULL HDカメラを使用すると拡大時でも高画質で顔や商品名まで鮮明に映し出せます。外部の目立つ位置に設置することで、映像の監視とともに犯罪の抑止にもつながります。*7
また、エントランスやエレベーターホールにセキュリティーゲートを設置することで、共連れを防ぐような通行管理も可能です。*8
入退室管理 *9
個人情報や企業情報管理のために、重要エリアへの入室を制限することも大切です。
入退室管理には、指紋や顔認証など最新認証技術による管理が対策として挙げられます。
システムによってセキュリティーを高めるためには 、インターロック制御といって重要室への通路開放を防ぐために、前室などドアが2枚同時に開かない制御も可能です。*10
出所)三菱電機ビルソリューションズ株式会社 MELSAFETY(メルセーフティー)
https://www.meltec.co.jp/building/solution/01_office/またアンチパスバックという機能もあります。共連れによって入室した場合、入室時にカードを利用していない利用者が退出できないような仕組みです。*10
出所)三菱電機ビルソリューションズ株式会社 MELSAFETY(メルセーフティー)
https://www.meltec.co.jp/building/solution/01_office/入退室管理は部屋へのアクセスだけでなく、エレベーター内にカードリーダーを設置することで、登録されたカードに応じた行先階の制限も可能です。*11
コスト削減・効率化 *12
セキュリティー管理に費やせる人的リソースには限界があります。
人員コストに関する対策として、効率の良いセキュリティー管理が挙げられるでしょう。
複数の防犯カメラ映像を同時にリアルタイムで閲覧できるシステムや、入退室の履歴や稼働状況を一括監視できるシステムを導入すると、セキュリティーに割く人員を減らすことが可能です。*12*13
高度なセキュリティー対策
より高度なセキュリティーや業務効率化を図るための対策についても、見ていきましょう。
例えば、セキュリティーシステムと、入退室管理システムや勤怠管理システムとの連携、異常発生時に警備会社に連絡する警備連動などにより、さらに高度なセキュリティー対策が可能です。
オフィスセキュリティーの導入事例
ここでは、実際にセキュリティーシステムを導入した事例を2つ見ていきましょう。
社員証と入退室管理の統一 *14
全国に生産拠点を持つ自動車メーカーが、社員証と入退室管理を統一するシステムを導入した事例です。
元々は拠点ごとに個別で入退室管理システムを導入していたため、出張した従業員は毎回受付で臨時入館証を借りている運用でした。
そこで社員証と入退室管理を統一化することによって、一元的に管理が可能となります。さらに周辺システムと連携し、出退勤管理や喫食管理、コピー機の利用などを社員証だけで利用できる環境を実現しました。
出所)三菱電機ビルソリューションズ株式会社 導入事例
https://www.mitsubishielectric.co.jp/building/case/14_mitsubishi-motors.htmlセキュリティー管理のみならず、業務効率化という効果ももたらした事例です。
エントランスにシステムを導入し人員コスト削減 *15
エントランスに新たなセキュリティーシステムを導入した事例です。
職員通用口には不審者の侵入を防止するためのカードリーダー、館内の階段に通じるドアには不要な出入りを防ぐためのテンキーによる認証端末を取り入れました。一人ひとりにIDカードを発行しているため、立ち入りを厳重に管理しています。
利用者が減る夕方以降は、一定の通用口を完全にロックする設定にし、時間帯によってセキュリティーレベルと利便性のバランスをとっています。
セキュリティーレベルを高めつつも、利便性を損なわない運用を行っている事例です。
適切なシステムを導入したセキュリティーの強化が大切
今回はビルセキュリティーに関する対策と事例を紹介しました。近年はサイバーセキュリティーが注目され、かつ侵入犯罪の件数が減っているとはいえ、万が一のケースを考えるとセキュリティー対策は重要です 。
従業員や取引先など、関係者全員が安心して過ごせる環境を作ることは企業イメージ向上にもつながります。
定期的にセキュリティー環境を見直して、適切なセキュリティーシステムの導入をお勧めします。
- MAIL MAGAZINE
-
ビルに関わるすべての方に!ちょっと役に立つ情報を配信中
メール登録
*1
警視庁 住まいる110番 侵入犯罪とは?
https://www.npa.go.jp/safetylife/seianki26/theme_a/a_a_1.html
*2
警視庁 住まいる防犯110番 侵入窃盗データ
https://www.npa.go.jp/safetylife/seianki26/theme_a/a_b_1.html
*3
警視庁 住まいる110番 侵入犯罪とは?
https://www.npa.go.jp/safetylife/seianki26/theme_a/a_a_1.html
*4
警視庁 住まいる防犯110番 侵入強盗データ
https://www.npa.go.jp/safetylife/seianki26/theme_a/a_b_1.html
*5
警視庁 住まいる防犯110番 侵入強盗に伴う身体犯の認知件数の推移
https://www.npa.go.jp/safetylife/seianki26/theme_a/a_b_1.html
*6
三菱電機システムサービス株式会社 セキュリティーの課題と解決
https://www.melsc.co.jp/business/visual_solution/security/building/index.html
*7
三菱電機ビルソリューションズ株式会社 MELSAFETY(メルセーフティー) 5-7
https://www.meltec.co.jp/building/solution/01_office/
*8
三菱電機ビルソリューションズ株式会社 MELSAFETY(メルセーフティー) 12
https://www.meltec.co.jp/building/solution/01_office/
*9
三菱電機システムサービス株式会社 セキュリティーの課題と解決
https://www.melsc.co.jp/business/visual_solution/security/building/index.html
*10
三菱電機ビルソリューションズ株式会社 MELSAFETY(メルセーフティー)
https://www.meltec.co.jp/building/solution/01_office/
*11
三菱電機ビルソリューションズ株式会社 MELSAFETY(メルセーフティー) 1
https://www.meltec.co.jp/building/solution/01_office/
*12
三菱電機システムサービス株式会社 セキュリティーの課題と解決
https://www.melsc.co.jp/business/visual_solution/security/building/index.html
*13
三菱電機ビルソリューションズ株式会社 MELSAFETY(メルセーフティー) 9,10
https://www.meltec.co.jp/building/solution/01_office/
*14
三菱電機ビルソリューションズ株式会社 導入事例
https://www.mitsubishielectric.co.jp/building/case/14_mitsubishi-motors.html
*15
三菱電機ビルソリューションズ株式会社 導入事例
https://www.mitsubishielectric.co.jp/building/case/08_houjukai.html