• 更新日:2023.03.10
  • 作成日:2023.02.16

三菱製エレベーターのふるさと 稲沢ビルシステム製作所ってどんなところ?

建物が高層化した昨今、エレベーターやエスカレーターは私たちの生活に欠かせない乗り物です。日常生活でありふれたシチュエーションであるが故、エレベーターやエスカレーターに乗る時にどんなメーカーが製造しているか気にする人は少ないかもしれません。
実はエレベーター・エスカレーターの国内シェアNo.1を誇るのが三菱電機ビルソリューションズです。
今回は、日本で一番エレベーターやエスカレーターを製造している三菱電機ビルソリューションズの製造現場を紹介します。

三菱製エレベーターのふるさと「稲沢ビルシステム製作所」

エレベーターやエスカレーターは、建築基準法では昇降機と呼ばれます。私たちの生活に欠かせない乗り物でありながら、その製造現場はあまりメディアに取り上げられません。どのように製造されているのかすら想像がつかない人も多いでしょう。
国内シェアNo.1を誇る三菱のエレベーターやエスカレーターは、実は一つの場所で作られています。それが「稲沢ビルシステム製作所」です。

稲沢ビルシステム製作所は、1964年にエレベーター・エスカレーターの専門工場として愛知県の北西部にある稲沢市に設立され、以来、60年近く三菱製昇降機の品質を統括してきました。
同製作所から生まれた昇降機は、日本を含め約90カ国の国々に出荷されています。稲沢ビルシステム製作所は、世界中で稼働する三菱製昇降機の品質を統括するマザー工場なのです。(図1)*1

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図1:稲沢ビルシステム製作所の外観

出所)三菱電機株式会社「三菱電機 昇降機 国内累計生産台数50万台達成のお知らせ」

https://www.mitsubishielectric.co.jp/news/2020/1001-b.html

稲沢ビルシステム製作所の役割

前述の通り、稲沢ビルシステム製作所は三菱製昇降機のマザー工場です。ここでは、稲沢ビルシステム製作所が担う役割について紹介します。

生産

稲沢ビルシステム製作所の役割の中で最も重要とも言えるもの、それが生産です。
製作所内では、エレベーターやエスカレーターの設計・製造が行われています。基本的にエレベーターやエスカレーターは完全受注生産で、ひとつひとつ仕様が異なります。
大手メーカーの工場というと、自動で部品製造や組み立てが行われていると思う方もいるでしょうが、特殊部品の製造や組み立て、検査は念入りに手作業で行われています。
このようにして製造された製品は、丁寧に梱包され国内外の現場に出荷されます。(図2)*2

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図2:製造工程

出所)三菱電機株式会社「プロジェクトME 愛知県 稲沢製作所編」

https://www.mitsubishielectric.co.jp/me/project/inazawa/report.html

試験・品質保持

エレベーターやエスカレーターはとても複雑な構造をしており、市場に出すためには様々な検討、試験が必要です。稲沢ビルシステム製作所内には、生産設備以外にも製品の安全性や動作性を試験する設備が整っています。

代表的な試験設備として、エレベーター試験塔や昇降機の開発検証施設があります。これらの施設は様々な機能を備えており、世界最高レベルの試験設備です。
三菱電機ビルソリューションズでは稲沢ビルシステム製作所で開発、製造、出荷したエレベーターやエスカレーターを据付、保守部門に引き継ぎ、ワンストップで高品質な製品・サービスを提供しています。*3

人材育成

より良い製品を作る上で欠かせないのが人材です。稲沢ビルシステム製作所では高品質な製品・サービスを維持するため人材育成にも力を入れています。
製作所内に研修設備があり、新入社員から中堅社員までの階層別教育や職能別教育、経営幹部のマネジメント研修等が行われています。*4

社会貢献

稲沢ビルシステム製作所の役割は生産や品質保持、人材育成以外にもあります。

2009年以降、稲沢ビルシステム製作所を含む三菱グループの製作所では「みつびしでんき科学教室」として、子どもたちに理科の楽しさを体感してもらう教室を開催しています。
この教室では、若手社員が講師となり、クイズや実験を通して小学生に楽しくエレベーターの動作原理やプログラミングを学んでもらいます。(図3)*5

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図3:プログラミング教室の様子

出所)三菱電機株式会社「みつびしでんき科学教室」

https://www.mitsubishielectric.co.jp/corporate/sustainability/philanthropy/science/education/index.html


他にも、三菱グループは環境保全にも力を入れています。
その一例が稲沢ビルシステム製作所社屋の屋上緑化です。緑化することで、植物による遮熱と蒸散作用が工場の温度上昇を和らげ、夏季の冷房費節約につながるとともに、カーボンニュートラルにも貢献しています。*6

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図4:稲沢ビルシステム製作所の緑化された屋上

出所)三菱電機株式会社「サステナビリティの広場」

https://www.mitsubishielectric.co.jp/corporate/sustainability-square/ecotechnology/vol4/

国内屈指の試験・研修設備

前述の通り、稲沢ビルシステム製作所には様々な設備が整っています。ここでは三菱が世界に誇る試験・研修設備を紹介します。

エレベーター試験塔「SOLAÉ(ソラエ)」

エレベーター試験塔「SOLAÉ(ソラエ)」は、2007年に稲沢ビルシステム製作所内に完成しました。(図5)*7

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図5:エレベーター試験塔「SOLAÉ(ソラエ)」の外観

出所)三菱電機株式会社「エレベーター試験塔『SOLAÉ(ソラエ)』」

https://www.mitsubishielectric.co.jp/elevator/related/solae/index.html


稲沢市(イナザワ:173.0)にちなんで、ビルの高さは173.0m(約40階建てのビルに相当)です。2007年当時、世界で最も高いエレベーター試験塔でした。
この試験塔では、超高速・大容量エレベーターの駆動制御性、安全性、重要部品開発、乗り心地などを試験できます。*1
このような充実した設備が整っている試験塔は、世界でもあまり例がなく、その高い技術力を一目見ようと、SOLAÉショールームは国内外から視察の要望が絶えません。
また、コロナ禍以前は年に1度夏祭りを開催しており、稲沢ビルシステム製作所を近隣住民の方々向けに解放していました。その中でも「SOLAÉ」(ソラエ)は並ばないと見学できないほどの人気でした。*6

昇降機QM(Quality & Manufacturing)センター

また、2014年には昇降機QM(Quality & Manufacturing)センターが完成しました。(図6)*8

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図6:昇降機QM(Quality & Manufacturing)センターの外観

出所)三菱電機株式会社「三菱電機 稲沢製作所 開発検証施設『昇降機QMセンター』稼働開始」

http://www.mitsubishielectric.co.jp/news/2014/1001.html

昇降機QMセンターは、検証機能、製品開発、人材育成を行います。
検証機能として、巻上機、プリント基板、ロープ、ブレーキ等、昇降機のキーパーツの開発・検証が重点的に実施されており、海外製造拠点との技術・人材交流や製造基盤技術の人材育成も行われています。*8
また、同センターは、棟内の温度を変更できる機能も有しており、熱帯地や寒冷地の気温を再現し過酷な環境に耐えうる昇降機の開発が進められています。*9

稲沢据付研修センター「匠」

さらに、2019年には国内外の据付技術者育成を強化するため、稲沢据付研修センター「匠」が稼働しました。(図7)*10

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図7:稲沢据付研修センター「匠」の外観


出所)三菱電機株式会社「稲沢据付研修センター『匠』稼働開始のお知らせ」

https://www.mitsubishielectric.co.jp/news/2019/0226.html

稲沢据付研修センター『匠』には、据付実習用昇降路10本、実習用エレベーター8台、特別安全教育施設が設置されており、据付技術者の育成に特化した施設です。
実際の昇降機を用いた専門教育を行うことができる施設は国内にはほとんどなく、世界で活躍できる人材育成が行われています。*10

三菱昇降機の品質管理を一手に引き受ける稲沢ビルシステム製作所

ここまでで紹介したように、稲沢ビルシステム製作所は単に生産を行うだけの場所ではありません。世界最高レベルのエレベーター試験塔や、過酷な環境を再現できる昇降機QMセンターでは、日々、品質向上のための試行錯誤が重ねられています。
また、製品の品質のみならず稲沢据付研修センター「匠」では、最新鋭の技術を使ったトレーニングが行われており、まさに「匠」を生み出しています。

このような数々の取り組みにより、皆様の街の三菱昇降機の品質も保たれているのです。
これからも稲沢ビルシステム製作所は、三菱昇降機のマザー工場として進化を止めることはありません。

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引用元
*1
出所)三菱電機ビルソリューションズ株式会社「三菱昇降機マザー工場 稲沢ビルシステム製作所」
https://www.mitsubishielectric.co.jp/elevator/info/inazawa/index.html

*2
出所)三菱電機株式会社「プロジェクトME 愛知県 稲沢製作所編」
https://www.mitsubishielectric.co.jp/me/project/inazawa/report.html

*3
出所)三菱電機株式会社「三菱電機 昇降機 国内累計生産台数50万台達成のお知らせ」
https://www.mitsubishielectric.co.jp/news/2020/1001-b.html

*4
出所)三菱電機株式会社「三菱電機 稲沢製作所 新研修センター『SOLAE place』稼働のお知らせ」
http://www.mitsubishielectric.co.jp/news/2016/0530-a.html

*5
出所)三菱電機株式会社「みつびしでんき科学教室」
https://www.mitsubishielectric.co.jp/corporate/sustainability/philanthropy/science/education/index.html

*6
出所)三菱電機株式会社「サステナビリティの広場」
https://www.mitsubishielectric.co.jp/corporate/sustainability-square/ecotechnology/vol4/

*7
出所)三菱電機株式会社「ヒストリー 2000年代」
https://www.mitsubishielectric.co.jp/corporate/gaiyo/history/2000/

*8
出所)三菱電機株式会社「三菱電機 稲沢製作所 開発検証施設『昇降機QMセンター』稼働開始」
http://www.mitsubishielectric.co.jp/news/2014/1001.html

*9
出所)日本経済新聞「壊して耐久性確認 三菱電機の昇降機、熱帯にも対応」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO14701020Q7A330C1000000/

*10
出所)三菱電機株式会社「稲沢据付研修センター『匠』稼働開始のお知らせ」
https://www.mitsubishielectric.co.jp/news/2019/0226.html

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