• 更新日:2023.08.30
  • 作成日:2023.02.27

24時間365日安全を見守る、エレベーターの遠隔監視システム

オフィスビルや商業ビルなど、多くの人が利用するビルのエレベーターでは、遠隔監視システムが多く採用されています。
「監視」と言っても、遠隔監視している対象はエレベーターそのもので、防犯カメラで利用者の動きを監視するものではありません。
遠隔監視システムは、エレベーターの運行状況や機械トラブルなどを24時間365日監視し、万が一の緊急停止等にも、利用者からの通報を待たずに異常を察知し対応できるシステムです。
エレベーターの遠隔監視システムは、異常の察知以外にも、離れた場所にあるサービス拠点から、リモートでさまざまなメンテナンスやサービスを受けることができます。

では遠隔監視システムには、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。
この記事ではエレベーターの遠隔監視システムについて紹介します。

遠隔監視システムでできること

遠隔監視システムは、サービスセンターがエレベーターの運行状況や緊急停止、故障などを常に監視してくれるシステムです。
「遠隔監視」とは言っても実際は監視だけでなく、リモート点検や遠隔操作、遠隔での故障復旧や運行状況の解析など、さまざまな対応をしてくれます。

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(引用)三菱エレベーターリモートメンテナンス契約 ELE FIRST-smart エレファーストスマート
AIリモート点検システム
三菱電機ビルソリューションズ株式会社

https://www.meltec.co.jp/products/ev_es/maintenance/ev_maintenance/elefirst-smart.html

自動通報

事務所ビルやショッピングセンターなどでは、営業時間内に集中して多くの人がエレベーターを利用します。
また、アパートやマンションなどの住居ビルでは、24時間どの時間帯でも運行しています。
そのため、たくさんの利用者を乗せているときでも、深夜帯でも、いつでも早急に緊急対応できることが、利用者やお客様の信用や安心にも繋がるでしょう。
遠隔監視システムは、万が一のトラブルや、安全装置の作動による緊急停止などが発生した場合、すぐにサービスセンターに自動で通報するシステムです。
自動通報が行われると、発生したエラーを自動で解析し、遠隔での復旧などが行われていきます。

遠隔復旧

エレベーターの緊急対応に、いち早く役立ってくれるのが遠隔監視システムです。
異常や緊急停止をすぐに察知し、エラーの検証、故障復旧や点検、点検後の試運転など、復旧のための作業を遠隔で行います。
さらに人の手による修理が必要な場合は、遠隔監視によって得た情報を元に、適切な技術者をスムーズに現場に派遣することが可能です。

自動点検

オフィスビルやショッピングセンターなどの高層ビル・大型ビルでは、エレベーターの可動距離が長く、利用頻度も高いため、高頻度での点検保守を行うことが利用者や管理者の安心に繋がるでしょう。
遠隔監視システムでは、24時間365日エレベーターを遠隔点検しているため、運転機能に異常が無いかを稼働中も常にチェックしてくれます。

運行データの収集・解析

運行状況を収集し、データを解析することで、部品の摩耗具合や、交換までの期間の予測などが可能になります。
また使用頻度の多いフロアや、利用者の多い時間帯などを割り出すことで、エレベーターの待機階の設定といった運行スケジュールの計画にも、データの解析が役立つでしょう。

災害時の対応

例えば運行中に地震が発生した場合、エレベーターはその場で緊急停止をします。
これは、エレベーター本体の安全装置が作動したことによるもので、遠隔監視センターでは「安全装置作動」「緊急停止」という通知の形でいち早く受けます。

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(引用)三菱エレベーターリモートメンテナンス契約 ELE FIRST-smart エレファーストスマート
地震時エレベーター自動診断&復旧システム ELE-Quick エレクイック
三菱電機ビルソリューションズ株式会社

https://www.meltec.co.jp/products/ev_es/maintenance/ev_maintenance/elefirst-smart.html

災害発生時は「緊急停止したエレベーター内に長時間閉じ込められた」というトラブルが発生することがあります。
これは、エレベーター内に人が取り残されていることに誰も気づかなかったり、緊急停止していること自体に誰も気づかなかった、といったことが原因のひとつです。
また地震発生などで、建物内のエレベーターが全て緊急停止してしまった場合では、対応に駆けつける作業員の到着が遅れたり、運行復帰をするまでに技術的な時間がかかってしまうなどのタイムロスが発生することも考えられるでしょう。
しかし遠隔監視システムを導入している場合、「安全装置の作動」「緊急停止」「エレベーター内の状況」といった情報をすぐにセンターが把握し、安全性や不具合や異常が無いかを確認でき次第、自動で運行を再開させることが可能です。
また人的な確認や補修が必要な場合も、状況を素早く解析し、迅速に人員の派遣をすることができるのです。

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(引用)三菱エレベーターリモートメンテナンス契約「ELE FIRST-i plus」(エレファースト・アイ プラス)遠隔閉込め救出
三菱電機ビルソリューションズ株式会社

https://www.meltec.co.jp/products/ev_es/maintenance/ev_maintenance/elefirst-i-plus.html

災害発生時には、安全装置の作動により乗客の安全が守られた後のスムーズな対応だけでなく、エレベーター内に取り残された乗客の不安を取り除くことも大切です。
遠隔監視システムに対応したエレベーターではサービスセンターと通話も可能で、緊急時の状況確認や復旧までの時間などについて直接オペレーターと会話することもできます。
特に地震や火事の場合、余震の可能性や避難経路の確認など、ただちに復旧させるだけでは、かえって危険というケースもあるでしょう。
エレベーター内に取り残される時間が長いほど乗客の不安も大きくなる一方ですが、サービスセンターとの通話で情報を得られることは、大きな安心感に繋がります。

遠隔監視システムを利用するには

遠隔監視システムを利用するためには、「遠隔監視システム対応の製品」と「遠隔監視システム契約」が必要です。
そのためエレベーターの所有者や管理者は、エレベーターを導入する際には保守点検をしてもらうためのメンテナンスの契約も行う必要があります。
遠隔監視システムは、こうしたメンテナンスサービスのひとつであり、遠隔監視サービスを含むメンテナンス契約をすることで、システムを利用することが可能です。
また、遠隔監視システムはホームエレベーターでも利用が可能であるため、高齢者のみの世帯においても、安心してエレベーターを利用することができるでしょう。

また、メンテナンスサービス自体にも、費用の違いやグレードによってサービス内容が異なるものもあり、エレベーターを導入する施設や建物の用途に合わせてサービス内容を選ぶことがおすすめです。

まとめ

エレベーターなどの逃げ場のない密室においては、より高いセキュリティや、利用者の安心感に繋がるメリットがあるため、遠隔監視システムを導入すること自体の影響は大きいといえるでしょう。
遠隔監視システムでは、契約している全てのエレベーターの遠隔監視サービスを全て行っているため、システムやAIによる自動監視、自動点検がメインとなっています。
そのため、常時誰かに監視されているという事もなく、エレベーター利用者のプライバシーも守られる点も大きなメリットです。

エレベーターの設置計画では多くの場合、朝の通勤ラッシュ時の利用者数に合わせて、設置台数やエレベーターの容量を決定します。
しかし、在宅ワークへの転換や、フレックス制の導入、感染症対策による外出自粛なども増えてきた昨今では、エレベーターの利用頻度も日々変動していくでしょう。
遠隔監視システムによる運行状況の解析は、こうした勤務体制の変化や利用者数の変化をしっかりと把握し、よりムダな消費を少なく、より快適に利用できるような運行計画にも役立ってくれます。

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