弊社にご相談いただいた背景について教えて下さい

ZEB化検討のきっかけは、当社のテナントビル「HOWAビル津中央」が竣工から28年経過し、空調設備の更新時期を迎えていたことです。エレベーターをはじめ、設備保守をお願いしていた御社が、「この機に」と、ZEB化を提案してくださいました。テナントビルの保守・保全のためには定期的な修繕が必要ですが、当社は修繕費用を設備投資のひとつとして捉えています。修繕によって建物の価値が上がり、それにより「HOWAビル」のブランド価値も上がると考えているからです。ZEB化による省エネ性や快適性の向上は、テナント様にとって大きなメリットになるはずです。さらに、既設テナントビルのZEB化は全国でも前例がなく難しいというお話をうかがい、ぜひチャレンジしたいと思いました。

既設ビルのZEB化はどのように進められたのでしょうか

ZEBプランナー（ZEBの実現に必要な技術や知見を持ち、その普及に向けて、環境共創イニシアチブが公募する登録制度）である三菱電機と御社とが一体となり、三菱電機グループで対応していただけるということが大きかったです。既設ビルのZEB化は、断熱や設備の設置スペースが限定されるため、新築のZEB化に比べて難しいとお聞きしました。実現には入念な調査が必要で、エネルギー評価の対象となる空調、換気、照明、昇降機、給湯すべてに通じているパートナーが必要でした。しかも、私たちは国の補助金を利用する予定でしたので、申請のための複雑で膨大な資料も短期間で読んでいただかなければなりませんでした。それらを三菱電機グループの皆さんがやり遂げてくださったおかげで、当社のZEB化が実現しました。

ご契約後の状況について教えて下さい

ZEBにはエネルギー削減率によって「ZEB Ready」(削減率50％)、「Nearly ZEB」（同75％）、「ZEB」(同100％)の3つのランクがあります。当社の「HOWAビル津中央」は、既設テナントビルでは全国に先駆けて「ZEB Ready」を達成。あわせてZEB化した自社ビルの「津営業所」は、三重県初の「Nearly ZEB」を達成しました。工事中のクレームもなく、工事終了後は入居者様から「快適で環境に優しい上に、電気代も安くなり、本当にありがたい」という声もいただきました。実際、光熱費は前年同時期比で約50％削減できています。また、BEMSの設置で太陽光で発電した充電電力量と消費電力量を「見える化」したため、「津営業所」では社員の環境への意識が高まるという効果もありました。

ZEBは経済産業省・環境省が主管する実証事業です。宝輪様のZEB化申請は2018年度の事業公募で行い、同年7月に採択。費用の3分の2は補助金で賄われますが、翌年1月末までの工事完了が補助金交付の条件という厳しいスケジュールでした。弊社は「HOWAビル津中央」の管理人様や宝輪様と打ち合わせをし、工程管理表を作成。「津営業所」のZEB化工事も同時進行し、短い工事で完了しました。