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掲載のデータは発表当時のものです。価格・仕様について変更する場合もございます。

2005年12月20日

三菱電機株式会社
三菱電機ビルテクノサービス株式会社

国内初、地震によるエレベーターの損傷の有無を自動診断、自動復旧を実現
停止時間を30分に抑える技術を開発

 三菱電機株式会社(執行役社長:野間口 有)と三菱電機ビルテクノサービス株式会社(取締役社長:岡部季生)は共同で、地震によるエレベーターの物的損傷の有無を自動で診断し、運転に支障が無い場合には自動で復旧させる技術を国内で初めて開発しました。
上下走行距離30m (10階程度) 以下のエレベーターに適用します。停止時間を1台当たり約30分に抑えることが可能です。
この技術は、三菱電機ビルテクノサービスのエレベーター保守メニューの一つとして2006年10月からサービスを開始する予定です。

開発の背景

 三菱電機ビルテクノサービスは、現在国内で約20万台のエレベーターを保守管理しており、その内の約11万台は、地震を感知すると自動的に最寄階へ移動する地震時管制運転装置を装備しています。
地震時管制運転装置は、地震感知器によってP波または加速度80Gal以上の地震動を感知した場合に、エレベーターを最寄階に停止・着床させてドアを開き、利用者の閉じ込めと被害拡大を防止するものです。特に150Gal以上の地震動を感知した場合には、被害の拡大を防止するためにエレベーターを完全に休止し、エンジニアが現場で安全確認を行なった上で復旧させることにしています。
しかし、地震の規模によってはエンジニアの稼働上、復旧するまでに相応の時間を要するため、高齢者や小さなお子様などが上層階にある自宅に帰れないなど日常生活に支障をきたす恐れがあり、一刻も早く、安全に運転を再開することが望まれています。
両社は、2004年4月から遠隔点検・診断技術を応用した地震時の復旧技術の開発に取り組んできました。
今回開発した技術は、国土交通省・社会資本整備審議会建築分科会の建築物等事故・災害対策部会(10月28日)において審議された「エレベーターの地震防災対策に関する対応方針(案)」の中で示された「エレベーター昇降路内の状況を自動診断し二次災害の危険性がない場合に仮復旧させるシステム」を早期に実現するものです。

主な開発の成果

 これまでに蓄積したエレベーターの自己診断技術、動体画像解析技術や遠隔点検のノウハウや、過去の地震による物損事例の解析などを基に、地震時における自動診断・復旧技術の開発に成功しました。
1. 自動診断運転で異常の有無を検査
地震時管制運転によりエレベーターを停止した後、エレベーターは、(1)機器に大きな損傷が無いこと(200Gal未満)、(2)かご内に利用者がいないこと、を自動的に検出してから、ロープ・安全装置などの機器、システムの異常の有無を自動で診断します。
2. 自動診断運転で異常がなければ約30分で自動復旧、長時間停止を回避
診断運転後に異常がないと診断した場合は、運転休止から約30分程度で、自動的に仮復旧させることができます。その後エンジニアによる安全の再確認を行い本復旧とします。

今後の展開

 三菱電機ビルテクノサービスは、上下走行距離30m (10階程度) 以下のエレベーター保守サービスの実用化に向け、今後、遠隔管理システムへの搭載や実機検証等を実施し、2006年10月のサービス開始を目指します。

開発内容の補足
 自動診断運転では、ドア装置や調速機などの安全回路信号をチェックした後、主ロープ、調速機ロープ、制御ケーブル、つり合いおもりなどの可動部分と昇降路内機器との干渉チェックや、終点スイッチ、着床装置、ドア装置の異常有無の診断を行います。

調速機ロープ:エレベーターの速度を検出する調速機に用いるロープ
着床装置:センサーによりエレベーターを停止階床に正しく止める装置
終点スイッチ:昇降路の終端に取り付けられ、エレベーターの行き過ぎを防止するスイッチ

以上

お問い合わせ先

三菱電機ビルテクノサービス株式会社 広報室
TEL:03-3201-8060

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